ビジネスや現場から上がってくる「システムを作りたい」「○○のクラウドを導入したい」という要望は、しばしば本来の目的と手段が混同されています。言われた通りの仕様をそのまま形にするだけの「作業者」ではなく、要件を解きほぐして本質的な課題を見抜き、最も合理的で安全な回路へ誘導することこそがエンジニアリングの使命です。
マーケティングの有名な格言に「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」という言葉があります。これは「製品(手段)ではなく成果(目的)を見よ」という教訓です。
しかし、私はもう一歩先を問い直します。「なぜ彼は穴を開けたいのか?」
もし「隣の部屋へ配線を通すため」に穴を開けようとしているのなら、壁に傷をつけるドリルも穴も不要です。
サッシの隙間をすり抜けるフラットな「隙間ケーブル」を1本提案すれば、建築的なリスクも施工コストもゼロで課題は100%解決します。
常に自らにこう問い続ける姿勢を忘れません。
私は、コンピュータや家庭用ゲーム機が急速な成長を遂げる過渡期とともに歩んできました。ファミコンに胸を躍らせ、PC-8801/9801の青い画面に触れ、DOS-BASICでクイズプログラムを組み、PowerPCでCADを叩く。Windows 95から2000に至るOSの奔流の中で、「限られたメモリ容量と計算資源」を限界まで絞り出す試行錯誤を身体で覚えてきた世代です。